乙字湯の副作用は?想像しているより危険

乙字湯は体力に自信が有る健康的な方か体力が普通以上の方に処方される事が多い便秘漢方薬です。
薬である以上、副作用は必ず有ります。
乙字湯は効果が強いので、体力が低下してしまっている方や胃や腸の機能が低下してしまっている方には適していません。
殆どの漢方便秘薬にも言える事ですが、妊娠中や授乳中に乙字湯を服用する場合は、必ず担当の医師か専門家に相談するようにして下さい。
乙字湯の用途
漢方便秘薬の一種ですが、キレ痔、いぼ痔等の「痔(ぢ)」の炎症を緩和させる目的で使用される事が多いです。
頑固な便秘にも処方される事が有り、「おなら」が原因で腸管や他の臓器が圧迫され、軽い腹痛を伴う場合にも使用される場合が有ります。
また、運動不足が原因で起こる便秘にも処方される事が有り、出産後の「痔」を伴う便秘にも採用される場合が有りますが、下剤と同じ成分が含まれていますので、医師によります。
「脱肛」と呼ばれる肛門や腸の一部が肛門からはみ出してしまう病気に使用される場合も有ります。
「脱肛」と言うと、老化が進み、身体中の筋力が低下してしまったご高齢者に多い病気と言う認識が多いのですが、筋力の低下、軽度の内痔核、過度のダイエット等でも発症してしまう場合が有ると言われています。
乙字湯の副作用はどの成分から?
●柴胡(さいこ)
●黄芩(おうごん)
●当帰(とうき)
●升麻(しょうま)
●大黄(だいおう)
●甘草(かんぞう)
から構成されています。
先程、痔の炎症を緩和させると目的で使用される事が多いと説明させて頂きましたが、「柴胡」「黄芩」「大黄」「甘草」等に、炎症の緩和等の効果が期待出来ます。
特に「升麻」は、「イボ痔」に処方される事が多い生薬です。
体力が一般的な方が乙字湯を服用した場合に軽度の副作用が起こり易い傾向が有りますが、体力に自信が有る方であっても、胃や腸の機能が退化してしまっている方は、胃や腸に違和感や不快感、胸焼けに近い症状や嘔吐感、胃や腹部の痛みや下痢等が出てしまう場合が有ります。
「大黄」はある程度腸を刺激してしまいますので、ストレスや食べ過ぎ、飲み過ぎ等で胃や腸が不調になり易い方は特に注意が必要です。
特に乙字湯を飲み始めて数日前後で胃や腸に痛みや激しい下痢等の副作用が出てしまった場合は、服用を中止し、担当の医師や専門家に相談するようにして下さい。
柴胡に関して
セリ科の植物「ミシマサイコ」の根を乾燥させた物が使用される事が多いです。
サポニン、ステロール、脂肪酸等が配合されていて、痛みを和らげる効果が期待出来ます。
黄芩に関して
シソ科の植物「コガネバナ」の周皮部分を取り除いた根を使用される事が多いです。
フラボノイド、ステロール、糖類等が配合されていて、嘔吐感や嘔吐、軟便や下痢、腹部膨満感、胸のつかえ等を和らげる効果が期待出来ます。
当帰に関して
セリ科の植物「ホッカイトウキ」の根を使用される事が多いです。
精油、脂肪酸、クマリン、ポリアセチレン化合物、ビタミンB12が配合されていて、身体に溜まってしまった「膿」を取り除き、止血作用、身体の内側からの保湿等の効果が期待出来ます。
升麻に関して
キンポウゲ科の「サラシナショウマ」の根茎を使用される事が多いです。
トリテルペンノイド、ステロイドが配合されていて、喉の痛み、化膿を和らげる、「できもの」を緩和させる効果が期待出来ます。
大黄に関して
タデ科の「ダイオウ」の根茎が使用される事が多いです。
アントラキノン、タンニンが配合されていて、市販や病院で処方される下剤にも含まれている成分です。
便秘の改善だけでは無く、体内で停滞してしまった悪い物を排出する「デトックス」効果が期待されています。
甘草に関して
マメ科の「甘草」の根、周皮が使用される事が多いです。
漢方薬に使用される事が多い生薬の一つで、他に配合されている生薬の消化器系に与える負担を緩和させる効果が期待出来ます。
稀に危険な副作用が出る場合も
非常に特殊な症例として乙字湯を服用後に肝臓の障害や間質性肺炎の発症と言う副作用も報告されています。
特に肝臓は「沈黙の臓器」と言われていますので特に注意が必要です。
肝臓は身体の体液や血液を調節し、解毒等を調整していますので、副作用によって著しく機能が低下してしまった場合は、不純物等をろ過出来ない分、身体が重く感じてしまったり、原因不明の体調不良、発熱等の症状が出てしまう場合や、身体や目に「黄疸(おうだん)」のような症状が出てしまう場合も有ります。
間質性肺炎は肺のフィルター的な役割を担う間質組織が炎症を起こしてしまう難病で、空気をろ過する機能自体が低下してしまう病気です。
明らかに呼吸する能力が低下してしまっているように感じたり、咳や原因不明の発熱が有る場合は、医師や担当の方に相談するようにして下さい。
確かに、肝臓のトラブルや間質性肺炎等の副作用が起こる可能性は低いですが、乙字湯に限らず、漢方薬を服用する場合は、貰い薬や過去に飲んだ残り薬等の服用は出来るだけ避け、医師や担当の方に処方して頂くのが理想ですし、漢方薬としてのあるべき姿です。
乙字湯を服用するべきでは無い方
当然、一般的な下剤と同じ働きが有る「大黄」が配合されています。
乙字湯も含め、漢方便秘薬は、医師や薬剤師が必要かどうかを判断して処方する薬です。
特に、下記の条件に当てはまる方は、必ず医師や薬剤師に説明するようにして下さい。
●妊娠中や授乳中
●他の下剤やお腹が緩くなる飲食物を摂取している
●大黄の摂取が他と重なっている
●甘草の摂取が他と重なっている
●グリチルリチンを摂取している
●体力が低下してしまっている
●嘔吐感や嘔吐を感じる時が有る
●軟便や下痢を起こす時が有る
●ストレス性の胃腸炎や便秘
特に、妊娠中の方は注意が必要で、流産や早産の可能性も有ります。
また、体力が中以上であったとしても、ストレス・緊張・不安等を感じる時にお腹が痛くなる方は、「痙攣性便秘(けいれんせいべんぴ)」や「過敏性腸症候群」を発症してしまっている可能性も有ります。
腸を刺激する事によって排便を促す「大黄」の摂取には注意が必要です。
乙字湯の副作用や危険性に関して
医師や薬剤師に処方して頂いていたとしても、飲み始めに異常が出る場合も有ります。
その場合は、使用を中止し、医師や薬剤師に相談するようにして下さい。
副作用として比較的多いのは、嘔吐感や嘔吐、食欲減退、胃の不快感、軟便や下痢、腹痛等でせす。
先程、「甘草の摂取が他と重なっている」「グリチルリチンを摂取している」場合は、服用するべきでは無いと説明させて頂きました。
甘草とその主成分のグリチルリチンは、摂取量が多過ぎる場合、「偽アルドステロン症」「間質性肺炎」「肝機能障害」を発症してしまう可能性が有ります。
もし、発熱、むくみ、血圧の異常、倦怠感、黄疸(おうだん)、呼吸器系の異常等が出て来てしまった場合、出来るだけ早く医師や薬剤師に相談するようにして下さい。
偽アルドステロン症に関して
漢方薬の服薬による副作用として有名な病気です。
甘草とその主成分のグリチルリチンを多量に摂取してしまった場合、「アルドステロン症」と似た症状が起きてしまいます。
グリチルリチンは、風邪薬、胃腸薬、肝臓薬に含まれている事が有ります。
「アルドステロン症」は、副腎皮質ホルモンの「アルドステロン」が過剰に分泌されてしまい、身体へ悪影響を与えてしまう病気です。
高血圧、低カリウム血症、筋力の低下、倦怠感、臓器障害等が報告されています。
間質性肺炎に関して
肺の「間質」は、肺胞と肺胞の間の事を意味し、炎症が起きてしまう状態です。
乙字湯の使用方法やタイミング
食事前や食事の間のように、空腹時に使用する場合が多いのですが、胃の機能が低下している場合は、食後に服用する場合も有ると言われています。
乙字湯以外の漢方便秘薬にも言えますが、その時の状況や体調によって、容量が変わる場合も有ります。
もし宜しければ、「乙字湯の効果は?健康状態によっては適さない場合も」の記事も参考にしてみて下さい。
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