ひし餅は地方によっては、「緑」1色の物、「緑と白」「赤と緑」の2色、「緑白赤」の3色の物が有り、「緑と白」の2色で3層にする場合も有ります。
緑と白の2色のひし餅を3層にする場合の順番は、「緑・白・緑」にするのが基本です。
「緑白赤」の3色でひし餅を作る場合は、並べる色の順番によって、桃の節句が開かれる「春」を連想させるようにするのが基本で、「桃」の花が咲くイメージで並べるとひし餅が綺麗です。
地方によっては、「三角形」のひし餅、「あこや餅」と呼ばれる餅と飴を使用した和菓子を使用する場合も有り、「引千切(ひきちぎり)」と呼ばれる場合も有ります。
「緑」1色の場合は、「蓬(よもぎ)」を使用した「ヨモギ餅」を食べ、少し変わっているように感じてしまうかも知れませんが、「桃の節句」が開かれた当時は、「ハハコグサ」を使用した「緑」1色の餅が食べられていました。
ちなみに、「ハハコグサ」は漢字で「母子草」と書き、「餅をつく」時の「つく」や「食べる」のが良く無いとされ、「ヨモギ」に変更されたと言われています。
色の順番と意味
桃が咲くイメージですので、一番上に「赤」が来ますが、下に「緑・白」の順番に並ぶか「白・緑」の順番に並ぶかによって、異なる「残雪が残る春」を演出する事が出来ます。
「春が近づき、雪どけも間近で、桃の木から新芽が出て来ていて、見つけることが出来る様子」
「所々、新芽に残雪がかかっているが、本当の雪どけは近く、下から新芽がでて来ている様子」と言ったような感じで演出する事も可能です。
つまり、ひし餅が「赤・緑・白」の順番であれば、それぞれ「桃・新芽・雪」を表現し、「赤・白・緑」の順番であれば、「桃・雪・新芽」を表現しています。
ひし餅の形の意味
「菱型」に整形する意味は、沢山有りますが、庶民にも桃の節句が広がったとされる江戸時代には「ヨモギ」を加えた「緑」と「菱の実」を加えた「白」の2色を、「緑・白・緑」の順番に並べた物がひし餅でした。
「菱の実」は、当時忍者が「まきびし」として利用していた事でも有名で、池一面を覆い尽くす位、「繁殖力」が強く、「子孫繁栄」や「長寿」等をイメージさせてくれます。
当然、「菱の実」は「三角形のような菱型のような形をしていますので、それを表す為に、現在の形に落ち着いたと言う意見も有力とされています。
「桃の節句に白酒を飲む理由と甘酒との違い」の記事も参考にしてみて下さい。