はまぐりは「春の季語」でも有名で、貝によって「組み合わ部分」が異なる為、「貝合わせ」等の遊びに利用されて来ました。

地方によっては、貝によって組み合わせが異なる事から、「生涯唯一の相手」が連想出来るとして、「結婚式」のお料理に出される事が有ります。

ひな祭りにはまぐりの「お吸い物」や「潮汁」が提供される理由は、大きくなったら「生涯唯一の相手」を見つけて欲しいと言う家族の思いが込められていると言う説が一番有力的だと言われています。

余談になりますが、「はまぐり」は「ぐりはま」とも呼ばれていて、子供が不良や非行に走ってしまった時に「ぐれる」「ぐれた」と言う場合が有ると思います。

それは親の意思や意向とは合わない事を意味し、「はまぐり」の「組み合わせ」部分が合わない事に似ている事から、「ぐれる」「ぐれた」と呼ばれるようになりました。

もしかしたら、ひな祭りにはまぐりを提供する時に「良い結婚相手を見つけてね」と言う願いと共に、「素直で良い子に育ってね」「ぐれないでね」と言う願いも込められていたかも知れません。

当時のはまぐりは「幻」?

現在では、水質汚染や埋め立て、干拓や護岸工事等によって昭和後期を境に全国的に見ると絶滅に近い状態になり、在来種の姿は殆ど姿を見る事は出来ませんが、当時は「はまぐり」が全国各地の海に生息していたと言われていて、縄文時代には既に出土していた位、日本人とは馴染みが深い貝の一種です。

最近では「ひな祭り」に使用される在来種のはまぐりは、ほぼ、「熊本県産」のみが少量流通しているのみで、「国産」と記載されているのは、外来種の「チョウセンハマグリ」が大半です。

「外国産」の輸入はまぐりは、「シナハマグリ」「チョウセンハマグリ」が殆どです。

ひな祭りが庶民の暮らしに浸透し始めた「江戸時代」は、「はまぐり」の他に、「ひし餅」に使用される「菱の実」「ヨモギ」等も手に入れ易かったと言われています。

ひな祭りにはまぐり以外が提供される場合も

はまぐり以外にも、「三つ葉」「団子」「桜えび」「鯛」「菜の花」等の「めでたさ」「春らしさ」を連想させる食材をすまし汁に加える場合が有ります。

ちなみに、はまぐりを「潮汁」にして提供する場合も有り、江戸時代はなかなか「カツオ・コブ出汁」を引く事が出来なかったからだとも言われています。

また、女の子に「お祝」の意味を込めて何かしらの形で「お酒」を提供したい、お酒が飲める年頃まで健康に生きて欲しい、「初潮」がちゃんと来るまで健康に生きて欲しい等の願いも込めていたと言う意見も有ります。

ひなあられの意味と歴史、食べて何を期待?」の記事も参考にしてみて下さい。